今日のアフリカ
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マリ軍事政権に接近するトルコ
2026/02/01/Sun
近年トルコはアフリカ諸国との関係を急速に深めている。28日付ルモンドは、マリ軍事政権との関係深化について報じている。
トルコがアフリカ諸国との関係を深めるにあたって、軍事産業が重要な役割を果たした。よく知られているのがドローンで、バイカル社のバイラクタル TB2は人気が高い。マリに初めてバイラクタルTB2が入ってきたのが2022年末のことで、それ以降急速に普及した。バイラクタルTB2だけでなく、アキンジ(Akinci)機も利用されている。2025年4月に国境付近でアルジェリアに撃墜され、両国関係の悪化を招いたのはこのドローンである。操縦技術を学ぶため、数十人のマリ人軍人がトルコ北西部のKesanでバイカル社ドローンの操縦訓練を行っている。
トルコの防衛産業は、ドローンだけでなく多くの武器や装備品をマリ軍に納入している。マリ軍兵士のトレーニングを請け負ったり、軍事政権トップのボディガードも行っている。
トルコへの接近を、軍事政権内のバランスから説明する分析もある。ロシアに近くワグネルやAfrica Corpsの受入れを担当しているカマラ(Sadio Camara)国防相への牽制として、アシミ?ゴイタを中心にトルコとの関係を深めている、との説明である。
ただし、ロシアとトルコを比べれば、マリとの関係は前者の方がずっと深い。Africa Corpsはマリ国内に2000人いるとみられ、これに匹敵する数の軍事?治安要員を派遣する国はない。
トルコのエルドアン政権は、ソマリアと深い関係を築いたことで知られる。西アフリカでは、マリのみならずブルキナファソやニジェールにもドローンを販売し、関係を深めている。軍事産業を中心にアフリカとの関係を深めるやり方は、ロシアとも共通する。(武内進一)
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アメリカの人気動画配信者のアフリカツアー
2026/01/31/Sat
1月28日、世界的な人気を誇るアメリカの動画配信者IShowSpeed氏が、貧困や暴力のイメージに隠れがちなアフリカ大陸の文化的多様性をアピールすることを目的とした、約1か月のツアーを終えた。
IShowSpeed氏は、アメリカ出身の人気動画配信者で、エネルギッシュでカオスな配信スタイルや、世界各地を訪れるライブ動画配信で知られる。ライブ動画配信は、編集をしないリアルタイムの映像に対して、コメント機能などを通じて配信者と視聴者が即時的に双方向コミュニケーションを取ることができるのが特徴である。同氏はYouTubeで5000万人以上のチャンネル登録者数、Instagramで4500万人以上のフォロワー、TikTokで4700万人以上のフォロワーを有するメガインフルエンサーである。
アフリカ20カ国を28日間でめぐる「Speed Does Africa」と題された今回のツアーでは、訪問先のガーナ、ナイジェリア、ケニア、セネガル、モロッコ、ナミビアなどの各国から毎日ライブ動画配信をおこなった。賑やかな通りを歩き回り、地元の人びとと冗談を言い合い、踊りや儀礼に参加し、市場で飲み食いする臨場感あふれるリアルタイムの様子が映し出された。1月18日には、モロッコで開催されたアフリカネイションズカップ決勝を観戦し、その後セネガルを訪れ、ファンとともに代表チームの勝利を祝っている。ナイジェリアの首都ラゴスでは、若いファンらが同氏の21歳の誕生日とYouTubeチャンネル登録者数5000万人達成の節目を祝った。(1月28日付AP通信、29日付DW)。
1月28日付の旅行観光メディアSkiftの記事によると、IShowSpeed氏のような人気動画配信者は、政府の観光キャンペーンよりも早く、アフリカのグローバルイメージを刷新する力を持つと指摘している。現に、アフリカツアーのライブ動画配信は、エチオピアでの動画は20時間以内に1000万回、続いてケニアで960万回、南アフリカで500万回という驚異的な再生回数を記録している。ケニアとエスワティニの観光局は、同メディアのインタビューにおいて、インフルエンサーによるライブ動画配信は、従来の観光マーケティングモデルを覆し、Z世代の関心を基盤とした新たなモデルの構想を可能にすると語っている。
周知のように、新しい秩序が生まれたり、変化をもたらしたりするのが、混沌の中や若い世代であることを考えると、ステレオタイプ的なイメージを変える可能性を秘めているのは、こうした一見するとカオスに見える若いインフルエンサーなのかもしれない。(宮本佳和)
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サヘル三国に接近するトーゴ
2026/01/24/Sat
1月20日、トーゴ政府は、ダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐のブルキナファソへの引き渡しを発表した。16日に首都ロメで逮捕され、翌日引き渡されたという。ダミバ中佐は、2022年1月のクーデタで実権を握り、同年9月にトラオレ大尉のクーデタによって放逐された。その後トーゴに亡命していたが、ブルキナファソの軍事政権からは不安定化工作に関与したとして繰り返し非難されてきた。
ブルキナファソでは、今月3日、不安定化工作の疑いで複数の軍人が逮捕されたが、この時もダミバの関与が囁かれた(5日付ルモンド)。これが今回の逮捕と引き渡し劇のきっかけになったと思われる。
今回の引き渡しにより、トーゴのフォール?ニャンシンベ政権のブルキナファソ軍事政権への接近が明らかになった。ブルキナファソだけではない。2025年3月、トーゴのデュセイ(Robert Dussey)外相は、同国がサヘル諸国同盟(AES)への参加を検討しており、メンバー国に海洋への出口を提供できる、と述べて、AES構成国(マリ、ブルキナファソ、ニジェール)への接近を印象づけていた。
トーゴは、サヘル三国と並行して、ロシアにも接近している。2025年10月30日、フォール?ニャンシンベはマクロンとエリゼ宮で会談したが、11月中旬にはモスクワを訪問し、クレムリンでプーチンと会談した。そこで新たな二国間防衛協定を結び、ロシア海軍がロメ港を利用できるようにした(21日付ルモンド)。
ロメ港をめぐっては、実現はしなかったものの、2025年末にニジェール産ウラニウム(イエローケーキ)1000トンがロシア向けに輸出される計画があった。ブルキナファソ、トーゴが治安維持を約束し、ジハディストが活動する地域を通ってニジェールからロメ港まで運ぶことになっていた(21日付ルモンド)。このイエローケーキは、フランス企業オラノとニジェール軍事政権との係争の種になっており、ニジェールに協力するトーゴの姿勢は、そのままフランスとの距離を示している。
12月に起こったベナンのクーデタ未遂事件をめぐっても、周辺諸国に亀裂が生じている。事件にはニジェール軍事政権の関与が取り沙汰され、首謀者のティグリ(Pascal Tigri)中佐はトーゴを経由してニジェールに逃亡した。
サヘル三国にトーゴが接近して親ロシアの外交姿勢をとり、それにベナン、コートジボワールなど親仏諸国が対立する構図が西アフリカに浮かび上がってきた。(武内進一)
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南部アフリカにおける豪雨と深刻な洪水被害
2026/01/19/Mon
南部アフリカの南アフリカ、モザンビーク、ジンバブエでは、数週間にわたって豪雨が襲い、モザンビーク中南部と南アフリカ北部で深刻な洪水が発生している。昨年末に雨が降り始めて以来、3か国で合わせて100人以上が死亡し、数十万人が避難を余儀なくされている。
南アフリカは16日、北部のリンポポ州とムプマランガ州で発生した洪水で少なくとも30人が死亡したと発表し、18日には国家的災害と宣言した(16日付BBC、16日付ロイター通信、19日付AP通信)。増水した河川が町や村を襲い、屋根や木の上に逃れた住民の救助のため、軍のヘリコプターが派遣されている。観光地として有名なクルーガー国立公園も被害を受け、約600人の観光客と職員が洪水被害を受けたキャンプから避難した。公園当局は、死傷者の報告はないものの、河川の氾濫により依然として広い地域が立ち入り禁止となっていると発表している。
17日付アルジャジーラによると、モザンビークでは昨年末から続く激しい雨で103人が死亡した。この数字には、洪水、落雷、インフラ崩壊、そして汚染された水源に関連したコレラの流行による死者も含まれている。ジンバブエでも今年に入ってから少なくとも70人が死亡し、千世帯以上の家屋が損壊し、学校、道路、橋梁が洪水の影響で倒壊した。各国の気象局は、今後さらに壊滅的な天候が続く可能性があると警告している。
南部アフリカでは近年、サイクロン、深刻な干ばつ、そして今回の豪雨といった一連の異常気象に見舞われている。先進国が原因とされる気候変動の影響が深刻に現れているように思えてならない。(宮本佳和)
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中東から北東アフリカへ―紛争の連鎖
2026/01/11/Sun
年末の2025年12月26日、イスラエルがソマリランドを承認した。1991年以来、ソマリアからの分離独立を宣言してきたソマリランドだが、正式に承認したのはイスラエルが初めてである。理由については、ガザ地域の住民を送致する計画があるとも言われるが、ソマリランドの地政学的重要性が指摘されている。イスラエルはソマリランドとの関係を深めることで紅海へのアクセスを確保し、対岸のイエメンで活動するフーシ派勢力の抑制を目論んでいる。
この動きに対応してか、アラビア半島からアフリカ北東部にかけての情勢がいっそう流動化している。12月30日、UAEからイエメンの南部暫定評議会(STC)向けに運搬された武器の積み荷をサウジアラビア主導の連合軍が攻撃し、UAEとサウジアラビアの緊張関係が顕在化した。1月9日、STCは解散を表明し、サウジアラビアへの協力を約束したものの、その指導者のイエメンからアブダビへの出国をめぐって、サウジアラビアはUAEを批判している。
UAEは近年北東アフリカに深く関与し、スーダン内戦では準軍事組織RSFを支援してきたほか、エチオピアやソマリランド、プントランド、ケニアなどとも深い関係を構築した。こうしたUAEの動きをサウジアラビアが警戒し、対抗姿勢を強めている。
12月中旬、サウジアラビアはスーダンのブルハーンをリヤドに招き、SAFを資金的に支援することを約束した。1月7日にはサウド外相がワシントンでルビオ国務長官と会談したが、同じ日に外務副大臣がポートスーダンを訪問している。
SAFは、サウジアラビアの他にエジプト、トルコ、カタールの支援を得ている。その一方で、RSFをUAEが支援し、リビア(ハフタル将軍派勢力)、チャド、エチオピア、ケニアなど周辺アフリカ諸国がその背後につく形になっている。
サウジアラビアはエリトリア支援にも動いており、2025年には、イサイアス大統領を二度招待した。紅海進出に強いこだわりを持つエチオピアへの対応措置とみられ、エチオピアの背後にいるUAEを意識した動きでもある(1月10日付ルモンド)。
北東アフリカからアラビア半島にかけては、複数の紛争が重なり合っている。スーダン内戦とイエメン内戦を筆頭に、ナイル川をめぐるエジプト、スーダン、エチオピアの対立、エチオピアとエリトリアの緊張、ソマリア連邦政府と分離勢力(ソマリランド、プントランド)の対立、リビア紛争(暫定政府と国軍派勢力)が相互に影響し、さらにエチオピア、南スーダン、チャド、中央アフリカなど、いずれも国内に紛争を抱えている。このように重なり合う紛争に、中東諸国の対立が反映し、拍車をかけているのである。(武内進一)
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スーダン内戦の地域化
2025/12/24/Wed
2023年4月に始まったスーダン内戦は、周辺国の多様な関与のなかで続いている。ルモンド紙は最近スーダンに関する連載記事を掲載しており、興味深い内容が含まれているので紹介する。
ブルハーンの軍事政権とヘメティのRSFの戦いにおいて、エジプトが前者を、UAEが後者を支援していることはよく知られている。エジプトの関心はナイル川の流域支配にある一方、UAEについてはアフリカ大陸北東部からサヘル地域にかけての影響力拡大にあるようだ。 エジプトとともに軍事政権側についているのは、エリトリアとソマリアである。いずれも反エチオピアという点でエジプトと立場を同じくする。エジプトにとってエチオピアは、ダム建設によってナイルの水資源を支配しようとする宿敵である。 一方RSF側には、リビア東部を支配するリビア国民軍(LNA)、チャド、南スーダン、ウガンダ、エチオピア、ケニアなどがついている。この背景には、UAEによる資金提供がある。UAEは、コロンビア人の傭兵を送り、チャドやソマリアのプントランド経由で武器を送るなどRSFを直接支援しているが、それに留まらず、周辺国の指導者にも資金を提供し、RSF支援に協力させている。 チャドに対してUAEは、2023年に補助金や貸付の形で2億ドルを供与した。今年3月、ナイロビでRSFによる政府設立を発表する大規模な会議が開催されたが、その1週間後、ケニアはUAEから15億ユーロの貸付を得た。UAEは豊富な資金を使って同盟国を増やしている。 ただし、UAEの関与とRSFへの支援は、アフリカ諸国の内政に影響を与えている。その代表例はチャドである。チャドのデビィ政権は、スーダン国境に近い地域を地盤とし、ザガワ(Zaghawa)人が中枢を占めている。 10月26日には北ダルフールの州都エル?ファーシル(El-Fasher)がRSFに制圧され、多くの住民が虐殺された。RSFはダルフールのアラブ人を中心とする組織で、一方エル?ファーシルの犠牲者やそこでRSFと戦った武装勢力の多くはザガワ人である。 RSFによるエル?ファーシル制圧や虐殺に対してチャドから公式の反応はない。チャドのマハマト?デビィ大統領はUAEから多額の支援を受けており、また自らの出身コミュニティであるザガワを治安面で警戒していることから、RSF支援の立場をとっている。国内には不満と怨嗟の声が渦巻いているようだ(23日付ルモンド)。 UAEやエジプトの関与を止める者はいない。サウジアラビアと米国を加えた4ヵ国がスーダン内戦の調停を進めることになっているが、調停者が内戦当事者を焚きつけているのが現状である。 米国は、スーダン和平と新政権の枠組みにおいて、ブルハーンの軍事政権もヘメティのRSFも排除されると述べている(12月8日付ファイナンシャルタイムズ)。しかし、UAEに対してRSF支援を止めるよう圧力を加えることはほとんどない。イスラエル?パレスチナ紛争や対イラン政策においてUAEとの関係は非常に重要で、米国はスーダンのためにUAEとの関係を悪化させたくない、という見方が強い(19日付ルモンド)。 周辺国の関与がなければ、スーダン内戦がここまで激化、長期化することはなかった。紛争の影響は、難民や武器流通、さらには政権の不安定化といった形で周辺国に及ぶことだろう。(武内進一)
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ベナンのクーデタ未遂事件にニジェールが関与か
2025/12/14/Sun
12月12日付ルモンド紙によれば、複数のベナン、ニジェール筋が、7日にベナンで起こったクーデタ未遂事件にニジェールの軍事政権が関与していた可能性を示唆している。
このクーデタ未遂事件は、ティグリ(Pascal Tigri)中佐を中心とする100~200人のグループが主導したとされ、13人は逮捕されたものの、首謀者の多くはなお逃亡している。
2023年にニジェールでクーデタが起こった際、ベナンはこれを厳しく批判して、ECOWASによる軍事介入にも積極的な姿勢を示した。それ以降、両国の関係は悪化し、国境も閉鎖されてきた。
しかし、クーデタの数時間前、ニジェール軍は自国領とベナン領を結ぶ橋の通行規制を解除していた。ニジェール軍事政権は、フランス企業のオラノ(旧アレバ)との間でウラニウム開発をめぐる紛争を抱えているが、11月末にウラニウムの精鉱であるイエローケーキ1000トンを首都ニアメの軍事基地に搬出したことが報じられていた(11月28日付ルモンド)。
クーデタが成功していれば、このイエローケーキがベナン経由で輸出された可能性がある。その輸出先と見られるのがロシアで、ニジェールは11月初めにロシアのRosatom社との間でウラニウム取引の協定を結んでいる(11月6日付ルモンド)。
クーデタに関連して注目を集めたのは、ベナン出身のインフルエンサー、ケミ?セバ(Kemi Seba)である。彼は、反欧米の言説で人気を博し、タロンに敵対してニジェール軍事政権の顧問に就任したが、12月7日朝には、SNSにクーデタを賞賛する動画を投稿した。
ベナンでクーデタが成功していれば、ニジェールだけでなく、マリやブルキナファソの軍事政権もこれを歓迎しただろう。このクーデタ未遂事件から、西アフリカの深い亀裂が垣間見える。(武内進一)
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ウガンダが難民受入れに制約
2025/12/11/Thu
11月26日、ウガンダのオネク(Hilary Onek)難民担当相は、「戦争状態」にある国の住民に難民庇護を与えないと表明した。特にソマリア、エチオピア、エリトリア出身者を対象に、難民受入れを制約する意向である(9日付ルモンド)。
ウガンダは、アフリカ屈指の難民受け入れ国である。難民に高い自由度を保障し、キャンプではなく村に住まわせる政策が、国際的に賞賛されてきた。しかし、USAIDの解体や、ヨーロッパ諸国(英国、フランス、ドイツなど)の援助削減のため、受け入れ体制が揺らいでいる。
ウガンダのUNHCRは、2025年の目標額の36%の資金しか集められていない。関係者は、「あらゆる社会サービスの提供が困難に陥り、60万人が食料援助を受けていない」と述べている。
今回特にソマリア、エチオピア、エリトリア出身者が標的とされた背景には、政治的理由もあるようだ。UNHCRによれば、ウガンダ政府は既に、これら三カ国出身者に対する難民登録を止めている。渡航文書偽造や人身取引などの問題が発覚したという。加えて、ウガンダが2026年1月12日に予定される大統領選挙の影響もある。選挙を前に、SNSでは反移民を訴える投稿が増えている。
特にウクライナ戦争勃発以降、人道支援は大幅に削減されてきた。今年に入り、トランプ政権の政策がそれに拍車をかけている。援助削減の影響は、すでに保健?医療分野などで顕在化しているが、人道支援分野も甚大な打撃を受けている。(武内進一)
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ベナンでクーデタ未遂
2025/12/10/Wed
7日、西アフリカのベナンでクーデタ未遂事件が発生した。この日の朝7時頃、公共テレビで軍服姿のグループが、タロン大統領の辞任を発表した。その後、大統領公邸近くで銃声が聞こえた。昼頃、セイドゥ内相がテレビで、クーデタは失敗したと発表。午後遅くには、タロン大統領もテレビで声明を発表し、クーデタの失敗が確認された(7日付ルモンド)。
もともと政情が不安定だったギニアビサウやマダガスカルと違い、ベナンにはクーデタの明確な前兆がなかった。それだけに、事件は衝撃を与えた。テレビでタロンの辞任を発表した際、兵士は行動を起こした理由として、「北部の治安状況悪化。前線で倒れた兵士への不当な扱い。不適切な昇進」を挙げた(8日付ルモンド)。
ベナン北部はブルキナファソとニジェールに接し、近年イスラム急進主義勢力の活動が活発化している。今年4月には、北部でベナン軍兵士54人がイスラム急進主義勢力の攻撃を受けて死亡する事件が起きている(4月23日付ルモンド)。反乱兵はこの点に言及したわけである。ベナンのようなギニア湾沿岸国においても、サヘルのイスラム急進主義勢力の影響を受けて、軍内に不満が蓄積していると見てよい。
今回は、軍内のタロン政権に忠誠を持つグループが迅速に対応したことに加え、地域共同体のECOWASが軍事介入したことで、反乱軍を撃破し、クーデタを失敗に終わらせた。ナイジェリア、シエラレオネ、コートジボワール、ガーナの部隊が介入作戦に参加し、特にナイジェリアはコトヌに空爆を行った。ECOWASの軍事介入は、2017年のガンビア以来である。
ベナンでは、2026年4月12日に大統領選挙が予定されている。タロンは大統領任期制限のためにすでに不出馬を表明し、ワダイ(Romuald Wadagni)財務相を後継に指名している。2016年に大統領に就任したタロン政権においては、有力な野党指導者が政治活動を制限されるなど、権威主義的な振る舞いが目立っていた。
クーデタが未遂に終わったとはいえ、それがどのような政治的影響をもたらすかは未知数である。今後の展開が注目される。(武内進一)
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コンゴ、ルワンダ大統領がワシントンで和平合意
2025/12/06/Sat
コンゴ民主共和国のチセケディ大統領とルワンダのカガメ大統領は、12月4日、ワシントンでトランプ大統領立ち会いの下、和平に向けた共同声明に署名した。共同声明は概略次の4点からなる。
1.2025年6月27日の和平協定、4月25日の原則宣言(Decralation of Principles)の実施にコミットする。
2.両国の友好的関係に向けて尽力する。
3.地域経済統合枠組(REIF)に署名した。
4.以上に加え、実施に向けた諸合意がなされた。これら「平和と繁栄に向けたワシントン諸協定」は、地域和平の礎となる。トランプ大統領に感謝する。
以上のように、今回の共同声明は、和平プロセスに関しては、既存の合意を確認するものだ。新しい点は、REIFなど経済開発面での合意内容が明らかにされたことである。
REIFは、大湖地域の開発計画で、エネルギー、鉱物資源サプライチェーン、インフラ、観光、公衆衛生といった分野に投資を呼び込もうとしている。ローカルオーナーシップが強調され、コンゴとルワンダが米国と協力しながらサミットを行い、投資促進に努めることが想定されている。
この署名に合わせて、米国はコンゴ、ルワンダとも二国間協定を結んだ。公開されているコンゴとの「戦略的パートナーシップ」協定では、米国によるコンゴへの投資促進を目的として、詳細な規定が盛り込まれている。共同の運営委員会(Joint Steering Committee)を設立し、鉱物資源など戦略的投資分野の開発を進めることが定められている。米国側の意気込みが伝わる内容であり、コンゴにとっては非常に魅力的であろう。
ワシントンで両国首脳が署名したまさにその時、コンゴ東部ではコンゴ国軍とM23との戦闘が激化している。南キヴ州のカマニョラ(Kamanyola)をめぐる攻防で、ルワンダ国内に多数の避難民が流入したとルワンダメディアは報じている(New Times 5日付)。署名によって紛争がただちに終結するとは考えられない。
経済開発のインセンティブによって紛争を止めようというのが、今回の米国による提案である。果たしてうまく進むだろうか。多くのオブザーバーは懐疑的である。現地で紛争が続けば、投資をしようにもできないからである。事態がどう進展するか、注意深く観察したい。(武内進一)
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