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最新10件

ナミビアビール、ケニア市場へ再参入

2025/02/28/Fri

 ナミビア?ブリュワリーズ?リミテッド(NBL)は、17日、主力製品のウィントフックビールをケニア市場で発売することを発表した。同社がケニア市場に参入を試みるのは、2010年に続いて2度目となる。  会見においてNBLのマネージングディレクター、ヴァルデマール?フォン?リエレス氏は、ケニア市場への参入は、NBLのプレゼンスを高め、輸出を通じて成長を促進するというより広範な戦略の一環であると述べた。加えて、同氏は、NBLのケニアへの進出は、単に事業の成長だけではなく、地元のパートナーとの永続的な関係を構築し、ナミビアのビール文化の文化的活力に貢献することでもあると述べている。  ケニアにおいては、ディステルグループの子会社であるケニア?ワインエージェンシーズ?リミテッド(KWAL)が流通パートナーになる。KWALは、オランダのビール醸造会社ハイネケンが過半数を所有している。ハイネケンは2023年に、特別目的会社であるハイネケン?ビバレッジ?ホールディングスを通じて、ディステルとNBLを買収していた。NBLは当初、東アフリカ?ブリュワリーズ?リミテッド(EABL)を通じてケニアで販売していたが、パートナーシップは2016年に終了した。  NBLは、1920年にドイツ人ビジネスマン2名が財政難に陥っていた南西アフリカ(現ナミビア)の4つの小規模醸造所を買収して設立されたビール醸造所である。ナミビアの首都ウィントフックに拠点を置く。同社ウェブサイトによると、輸出国は18か国(うちアフリカ諸国は10か国)である。(宮本佳和) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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米国が対ルワンダ制裁

2025/02/22/Sat

 20日、米国財務省は、コンゴ民主共和国東部紛争に関連して、ルワンダのカバレベ(James Kabarebe)地域統合相に制裁を科すと発表した。米国は、カバレベがM23に対する「ルワンダ軍の支援を統括した」と非難している。また、米国国務省は、「米国はルワンダにM23への支援を終わらせる責任と、コンゴの主権と領土的一体性を尊重するよう訴える」との声明を発表した(21日付ルモンド)。  カバレベは1996~98年に国軍参謀長、2010~18年に国防相を務めた。カガメ大統領の最側近の一人と見なされている。  M23は、1月27日にゴマ、2月16日にブカヴを制圧した。キヴ湖沿岸に位置する2つの大都市が次々にM23の手に落ちたことで、ルワンダへの国際的な圧力が強まっている。  EUは、21日、ルワンダ大使を召喚し、M23の攻撃を非難するとともに、ルワンダと全ての紛争当事者に即時停戦と対話を求めた。20日、ドイツ外務省は、駐ベルリンルワンダ大使を召喚し?コンゴへのルワンダ部隊駐留が国際法違反だとして強く非難した。ドイツ外務省は、ルワンダに対して、「コンゴの一体性を尊重し、部隊を撤収させる」よう要求した。  こうした動きに対して、ルワンダは強く反発している。19日には、EUのなかで一貫してルワンダに厳しい態度を取ってきたベルギーからの援助を「中断する」と発表。米国に対しても、「制裁は不当であり、根拠を欠く」と主張している。  ベルギーに対して「援助はいらない」と啖呵を切ったルワンダだが、約40億ドルの予算規模に対して西側諸国から約13億ドルの援助を受けている。ルワンダから輸出される鉱物資源にも疑惑の目が向けられており、EUは同国との間で締結した鉱産物貿易パートナーシップ協定の見直しを検討している(19日付ルモンド)。国際的な圧力にルワンダがどう対応するかが注目される。(武内進一) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ナミビア初代大統領死去

2025/02/15/Sat

 ナミビアの「建国の父」で、南アフリカからの独立運動を率いたサム?ヌヨマ元大統領が、8日、95歳で亡くなった。ヌヨマ氏は首都ウィントフックで3週間入院した後、「回復不能」な病気で亡くなったと9日の政府声明で公表された。  ナンゴロ?ムブンバ大統領は「最大の悲嘆」とともに、「尊敬される自由の闘士であり革命的指導者」の死去を発表する述べ、「建国の父は、愛する国の国民に並外れた貢献をして、長く、意義深い人生を送った」と続けた。  ヌヨマ氏は、南アフリカのネルソン?マンデラ氏、ジンバブエのロバート?ムガベ氏、ザンビアのケネス?カウンダ氏、モザンビークのサモラ?マシェル氏など、植民地支配や白人少数派による支配から国を脱却させたアフリカの指導者の世代の一人だった。  ナミビアの人口の約半数を占めるオヴァンボの農家に生まれたヌヨマ氏は、10人兄弟の長男だった。1949年、夜間学校に通いながら、首都近郊で鉄道の清掃員として働き始めた。そこで彼は、アパルトヘイト支配を終わらせるためにロビー活動を行っていたヘレロの最高首長ホセア?クタコ氏と出会った。クタコ氏はヌヨマ氏の指導者となり、1950年代後半に、移住に関する政府命令に抵抗していた黒人労働者のあいだで政治的に活動するようになったヌヨマ氏を指導した。クタコ氏の要請で、ヌヨマ氏は1960年、アパルトヘイト体制に対する武装抵抗の準備をおこなうために亡命生活を始めた。同年、ヌヨマ氏は南西アフリカ人民機構(SWAPO)の党首に選出された。SWAPOは1966年に武装闘争を開始し、1990年にようやく独立をむかえた。  ヌヨマ氏は1990年の民主選挙で勝利し、3期にわたり、比較的経済的に繁栄し、政治的に安定した時代を主導した。彼のエイズ政策は国際的に称賛された。しかし、アンゴラに留置されていたSWAPO党員の抑留者を「アパルトヘイト期南アフリカのスパイ」と呼び、彼らに対する拷問や失踪についての説明や調査を拒否し続けたことで非難を浴びた(たとえばDW、2013年8月23日)。彼はまた、同性愛を「狂気」と呼び、激しく非難したことでも知られる。  ナミビアは2月10日から国喪期間に入っており、ヌヨマ氏の遺体は、3月1日に首都の英雄墓地に国葬される。(宮本佳和)  クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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欧州プロサッカーチームにコンゴ紛争の影響

2025/02/12/Wed

11日、M23はブカヴから約60kmのイフシ(Ihusi)付近でコンゴ軍を攻撃し、4日に自ら宣言した一方的停戦措置を破った。8日に開催されたEAC(東アフリカ共同体)とSADC(南部アフリカ開発共同体)の合同サミット声明で即時停戦が呼びかけられていたが、状況を大きく変えることはなかった。合同サミットにルワンダのカガメ大統領は直接出席したが、コンゴ民主共和国のチセケディ大統領はオンラインで参加し、両者の対話はなかった。これでは事態は変わらない。  こうしたなかコンゴは、様々な形でルワンダに対する国際的な圧力を強めようとしている。外相のカイクワンバ?ワグネル(Thérèse Kayikwamba Wagner)は、1月31日、ヨーロッパの3つのプロサッカーチームに書簡を出し、ルワンダとのパートナー協定を解消するよう求めた。パリ?サンジェルマン (PSG:フランス)、バイエルン?ミュンヘン (ドイツ)、アーセナル(英国)の3チームで、いずれもルワンダと契約を結び、"Visit Rwanda"のロゴをユニフォームに付けている。  バイエルンはコンゴ政府の要請に反応し、近々キガリに赴いて協議すると2月6日に発表した。PSGとアーセナルは今のところ特に対応が報じられていない。コンゴ外相はPSGとアーセナルの対応に失望を表明し、「評判を上げるためにスポーツを利用している抑圧国の共犯だ」と批判した。  一方、PSGのコンゴ出身のサポーターがインターネット上で署名活動をはじめ、7日までに63,000の署名が集まった。アーセナルについては、カガメがファンだと公言しているが、現在までコメントを拒否している(2月7日付ルモンド)。  アムネスティ?インターナショナルやヒューマン?ライツ?ウオッチなどの国際人権団体は、これまでもルワンダとのプロサッカーチームとの契約を批判してきた。一方で、西側スポーツを利用して自国のプレゼンス向上を図るルワンダのやり方をポジティブに捉える意見も多かった。  しかしながら、ルワンダの軍事介入が明確となった現在、プロサッカーチームが宣伝契約を続けることは難しい。ルワンダはこれまで、対外イメージを高めることで観光促進や国際会議誘致、投資拡大に繋げてきたが、この戦略は深刻なダメージを受けることになろう。(武内進一) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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南アフリカを標的とした米国の行政命令

2025/02/11/Tue

 7日、トランプ米大統領は、南アフリカの「目に余る」(egregious)行動への対応とする行政命令を発した。これにより、米国は南アへの援助を停止するとともに、南ア政府による「人種差別を逃れるアフリカーナー難民の移住を促進」する。  この行政命令発布の根拠として、米国は2つの点で南アを非難している。第一に、イスラエルを非難し、イランとの関係を深めるという米国と同盟国に攻撃的な対応をしたことである。イスラエル?ハマス戦争の中で、イスラエルの行動が「ジェノサイド」であるとして国際司法裁判所(ICJ)に訴えたこと、また外相訪問などイランと接近したことが批判されている。  第二に、雇用、教育、ビジネスにおける機会平等を破壊する政策をとり、エスニックマイノリティのアフリカーナー農民の土地を補償なく収容する法律を制定したことである。1月24日に制定された収用法(expropriation act)がアフリカーナー農民の財産権を侵害するとし、雇用、教育、ビジネス面での黒人への優遇措置とともに非難されている。  これに対して、南ア政府は8日短い声明を発し、次のように反駁した。「米国の行政命令は、事実関係において不正確な前提に立ち、南アの植民地化とアパルトヘイトの歴史に対する理解を欠いている。事実誤認とプロパガンダのキャンペーンに懸念を表する。また、南アで最も豊かな人々に難民のステータスを与え、その他の地域から米国にやって来る人々を強制送還するのは、皮肉である。南アは今後も、誤解や論争に外交的な方策を見つけるようコミットする。」  米国の共和党議員には南アに強い不満を持つ層がおり、バイデン政権期にもAGOA(アフリカ成長機会法)からの追放などを主張していた。トランプ政権に代わったタイミングで、その影響力が前面化したのだろう。  しかし、トランプ政権が問題視した収用法に目新しい点はなく、白人を主たる支持層とする野党のDA(民主同盟)も、「国家が恣意的に土地を収用できる法律だというのは正しくない」と収用法を弁護している。AfriForumのようなアフリカーナー?ナショナリスト組織からも、自分たちは難民ではないし、南アを罰してくれと頼んだことはない、との主張が上がっている(10日付ルモンド)。  米国による今回の措置は、トランプ政権がアフリカをどのように扱うかを示している。総じてアフリカに関する知識が乏しく、ロビイストの数も少ないために、少数の極端な意見が通りやすいのだろう。こうした的外れな政策が続けば、現行の国際秩序に不信を抱く人々をさらに増やすだけだ。(武内進一) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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コンゴ東部情勢と2つの地域機構

2025/02/02/Sun

 29~30日にかけて、コンゴ東部の主要都市ゴマは反政府武装勢力M23に制圧された。事態の外交的打開に向けてアフリカの地域機構も関与を模索しているが、2つの地域機構が異なる動きを見せている。  29日、東アフリカ共同体(EAC)は臨時サミットを開催した。このオンライン会合には、加盟国8ヵ国のうち、コンゴ民主共和国を除く7ヵ国が参加した。会合では、コンゴにM23との直接対話を促す声明が発表された。ルワンダのカガメ大統領はこの会合で、M23との直接対話を拒否するチセケディ?コンゴ大統領の姿勢を批判した。  31日、南部アフリカ開発共同体(SADC)の臨時サミットが開催された。ジンバブウェのハラレで開催され、島嶼国の加盟国3ヵ国を除く13ヵ国の首脳が集まった。声明では、「M23とルワンダ国軍」によるSADC平和維持軍(SAMIDRC)への攻撃を強く非難したうえで、コンゴ支援へのコミットメントを約束した。コンゴはSADCに加盟しているが、ルワンダは加盟国ではない。  コンゴ東部紛争に対して、アフリカ諸国は2つの和平プロセスを走らせている。ひとつは、AUが指名したアンゴラのロウレンソ大統領によるルアンダ?プロセス、もうひとつは、ケニアのケニヤッタ元大統領が主導するナイロビ?プロセスである。  いずれの和平プロセスもうまく進んでいない。ルアンダ?プロセスが破綻した理由について、31日のSADCサミット声明では、M23とルワンダ軍による停戦合意違反がその理由だと述べている。一方、ルワンダ側は、チセケディがM23と直接対話しないことがその理由だと繰り返し、29日のEACサミット声明ではその主張が盛り込まれた形である。  二つの地域機構の声明に違いが出る背景には、チセケディとカガメが、それぞれ他のアフリカ諸国首脳とどのような関係を結んでいるかが影響している。チセケディは、ケニアのルト大統領を信頼していない。2023年12月に、M23と共闘する「コンゴ川同盟」(AFC)がナイロビで旗揚げして以来、両者の関係は悪化している(30日付ルモンド)。  EACはナイロビ?プロセスに基づいて2022年9月以降平和維持部隊(EACRF)をコンゴ東部に派遣したが、チセケディはM23との戦闘に無力だとして不満を表明し、2023年5月にはSADCの平和維持部隊(SAMIDRC)の受入れを表明した。その後、EACRFは2023年12月に撤収し、M23により強いアプローチを取るSAMIDRCが国連平和維持部隊MONUSCOとともにコンゴ東部に展開している。SAMIDRCもMONUSCOもM23と激しい戦闘を行っており、ゴマ制圧に際しては、2つの平和維持部隊で17名の兵士(うち13名が南アフリカ兵)が死亡した。  一方、カガメはSADCの役割を認めていない。1月30日には、南アフリカのラマポサ大統領に不満を表明し、南アフリカは仲介者の役割にない、SAMIDRCは平和維持部隊ではない、紛争を望むならルワンダもそう対応する、と脅しとも取れる内容をXに投稿した。  29日のEACサミット声明、31日のSADCサミット声明のいずれも、2つの地域機構が近日中に合同サミットを開催すると述べている。これが事態の打開につながることを望みたい。(武内進一) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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再交渉後の共同宣言への強い反発

2025/01/31/Fri

 今年3月末までに締結が予定される、植民地期のナミビアでおこなわれたジェノサイドの「賠償」に関する共同宣言について、被害者代表らが強い反発を表明した。  ナミビア政府は、先月中旬、植民地期の残虐行為をめぐるナミビアとドイツ両政府間の約10年におよぶ交渉の終了を告げた(「今日のアフリカ」、2024年12月31日)。2015年から交渉されてきた謝罪や「賠償」をめぐる草案は、2021年5月に署名され、共同宣言が出されていた(「今日のアフリカ」、2021年5月29日)。以来、被害を受けた人びとの代表組織などからの反発を受け(「今日のアフリカ」、2021年6月10日)、追加条項の交渉が続いていた。  ジェノサイドの被害者であるヘレロとナマの伝統的指導者らの各組織(OCAとNTLA)は、今月12日と18日にそれぞれ会見をひらき、反発を表明した。両者とも、ジェノサイドの直接の犠牲者の子孫であるにもかかわらず、交渉のプロセスから除外されてきたと主張している。ヘレロの伝統的指導者らで構成されるOCAの専門委員カンドゥンドゥ氏は、12日の集会において、14の地域のすべての首長が共同宣言から距離を置いており、首長らは政府に対して、計画を見直し、国民会議を招集するよう求めていると述べている。一方、ナマの伝統的指導者らで構成されるNTLAの副議長ハンセ氏は、18日の会見において、ナミビア政府が政府間の交渉枠組みを優先して、伝統的指導者らを故意に排除してきたと述べている。  また、NTLAは、ドイツが草案において「賠償」という用語を避け、法的責任を最小限にとどめようとしていることを非難している。同様の点については、ジェノサイド交渉の特使だった故ゼデキア?ンガビルエ氏も、ドイツの植民地支配の影響を受けた他のアフリカ諸国からの法的責任の追及を防ぐために使用を避けていると繰り返し指摘していた。現に、タンザニアはドイツに対して、ナミビアの例を出しながら、20世紀初頭の植民地支配中に起きたマジマジの反乱で殺害された人びとに対する「賠償」を求めていた。加えて、植民地期の残虐行為をジェノサイドと認めるか否かも論点になってきた。ドイツは、ナミビアに対しては、2021年の共同宣言の際にジェノサイドと認めて謝罪したが、タンザニアに対しては、2023年に謝罪したものの認めなかった。  こうした「賠償」や謝罪などの植民地支配の過去をめぐる問題は、ドイツだけでなく、イギリス、フランス、ベルギーなど植民地支配をしてきた諸国が抱えるものである。物議を醸しているナミビアとドイツの共同宣言がどのような結論を迎えるのかによって、同様の問題を抱える諸国に大きな影響が出そうである。(宮本佳和) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。どうぞよろしくお願いいたします。

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M23がコンゴ東部の主要都市ゴマに侵入

2025/01/28/Tue

 27日、反政府武装勢力M23は、東部の主要都市ゴマに侵入した。M23やそれと共闘する「コンゴ川同盟」(AFC)はゴマを制圧したと発表したが、27日時点で事態は混乱しており、完全に制圧したわけではなさそうだ。  これに先立つ26日、国連安保理で緊急会合が開かれ、グテーレス事務総長は、ルワンダ軍にM23への支持を止め、コンゴから撤退するよう要請した。事務総長がルワンダを名指ししたのは、これまでにないことだった。同会合では、米国、英国、フランスも、ルワンダに撤兵を呼びかけた(27日付ルモンド)。  『名前を知らない戦争』の著者スターンズは26日付ファイナンシャルタイムズ紙に論説を寄せ、紛争終結にはルワンダに圧力をかけるしかないと強調した。  M23は2012年にもゴマを制圧したが、この時は国際社会がルワンダに援助停止などの制裁措置をとり、ルワンダが支援を控えたことでM23の崩壊につながった。今回、欧米諸国はルワンダにコンゴから撤兵するよう呼びかけているが、制裁に向けた動きは今のところない。  この時期にM23がゴマを制圧した理由として、世界の関心がトランプ政権誕生に集まっているうえに、トランプ政権が自分たちの行動を承認するのではという期待がルワンダ側にあるとの指摘もある(27日付ルモンド)。  ルワンダ側のメディアは、コンゴ軍が、民兵組織ワザレンドゥ、ヨーロッパ人傭兵、ブルンジ軍、南部アフリカ共同体軍と協働し、かつてない脅威をルワンダに与えていると強調している(27日付New Times)。  1月に入ってから40万人が避難民となり、戦闘で国連平和維持部隊、南部アフリカ共同体軍にも合わせて13名の犠牲者が出ている。紛争は、大湖地域全域を不安定化させつつある。(武内進一) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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アフリカの原子力発電所需要

2025/01/19/Sun

 近年、原子力発電所設置への意欲を示すアフリカ諸国が続々と現れている。1月初めにはウラニウム産出国のナミビアが、中国の支援を得て原発開発への意欲を示した。12月にはジンバブウェが、原発設置に向けロシアと協力関係を結ぶと表明した。原発への関心がアフリカで高まる現状と背景を分析した15日付ルモンド紙の記事を紹介する。  現在、アフリカ大陸で稼働している原発は、南アフリカに1基あるだけだ。しかし、数年前から、ウガンダ、ガーナ、マリ、ブルキナファソ、ルワンダなどが開発計画を表明している。  2024年4月に世界原子力協会が実施した調査では、アフリカで約30ヵ国が原子力エネルギーの新プログラムを検討、計画、開始したと回答した。その多くは、ロシアのRosatom、中国のCNNCとの協力に基づくものであった。  その大部分は、実現まで時間がかかりそうだ。しかし、例外はエジプトで、Rosatomが北部の町エル?ダバア(El Dabaa)に4つの原子炉を建設した。建設費は290億ドルで、そのうち85%はロシアの貸付けで賄われた。原子炉は、2030年に稼働する予定である。  原発への高い関心の背景は、もちろん電化の必要に迫られているためである。現在アフリカの人口の約半分は、電気がない暮らしをしている。  一方、原発建設がそう簡単でないのは、建築費が巨額だからである。エジプトの原発建設費は、ブルキナファソやマリのGDPを上回る。この両国はRosatomと核開発?インフラ協定を結んだが、エジプトに行ったような貸付をロシアが他の国に行うのかは不明である。  技術面の革新として、小規模組立原子炉(Small Modular Reactor:SMR)が注目されている。300メガワット程度の能力で、安価に設置できる可能性がある。ただ、建設は簡単でなく、研究者は多くの国では設置まであと20~30年かかるだろうと予想している。  ただし、進捗が顕著な国もある。ガーナは、2016年から核安全省を設置した。ルワンダは、2026年に実験用原子炉建設を目指している。両国とも、SMR設置に向けてアメリカ企業と署名した(15日付ルモンド)。  アフリカの原発開発というと、ロシアや中国が友好国の歓心を買うために売り込んでいるイメージがあったが、事実はもっと複雑なようだ。脱炭素の中で原発回帰の流れが世界的に強まるなか、アフリカだけがそこから無縁であるはずはない。日本としても、安全性に関わる議論を喚起し、関連する情報や技術の提供を考える必要があろう。(武内進一) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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マリ軍事政権と鉱山開発企業との緊張

2025/01/18/Sat

 1月11日、マリ政府は、カナダのバリック?ゴールド社が操業するルロ?グンコト(Loulo-Gounkoto)金鉱山に軍を派遣し、3トンの金を差し押さえた。これを受けて同社は、同鉱山での操業を停止し、従業員8000人を一時休業にすると発表した。  マリ軍事政権と多国籍鉱山開発企業との紛争について、17日付ルモンド紙の記事が比較的手際よくまとめているので紹介する。  ルロ?グンコト鉱山には、アフリカ最大、世界有数の金鉱脈がある。2023年には19トンの金を産出し、マリの年間総生産量(65トン)の3分の1を占めた。バリック?ゴールド社はここで2018年から操業している。  軍事政権は、マリの「主権回復」を主張してきた。その論理に基づいてフランスとの関係を断絶したが、同時に、金鉱山からさらなる利益を引き出そうとしてきた。マリの金鉱山は、その大部分が外国企業によって開発されてきた。  2022年末、マリ政府は鉱業部門の監査を実施し、その結果として、3000~6000億CFAフラン(4億5000万~9億ユーロ)の得られるべき利益を得ていないと経済金融省が発表した。2023年8月には、新たな鉱業法が発布された。これにより、外国企業に様々な税金が引き上げられ、国家が鉱山の3割を所有すると決められた。また企業は、利潤をマリの銀行口座に入金するよう義務づけられた。  この法律改正をめぐっては、外国投資を阻害するという主張と、鉱山企業に有利な制度が続いてきた状況下でのバランスの回復であって正当なものだとの主張がぶつかってきた。「一次産品のアフリカ諸国の取り分をめぐっては、基本的な問題がある。公正な分配ができていない。鉱業?石油部門で、企業はしばしば国家よりずっと多くの利潤を得ている」と、フランスの業界筋は述べている。  バリック?ゴールド社は、新鉱業法は軍事政権の懲罰的措置だとして、それに準じた支払いを拒絶してきた。同社は2024年半ば、マリ政府に3億7000万ユーロの支払いを提案したが、交渉はまとまらなかった。11月末には同社のマリ人従業員4名が逮捕され、現在もなお拘留されている。12月初めには、マリ裁判所は同社のブリストウ(Mark Bristow)社長の逮捕状を発行した。  新鉱業法の制定には、二人の人物が決定的な役割を演じた。マム?トゥレ(Mamou Touré) とサンバ?トゥレ(Samba Touré)である。同姓だが、血縁関係はない。両者は、イヴェンタス?マイニング(Iventus Mining)社の幹部だが、マリの新鉱業法制定に関与し、多くの勧告をした。彼らは、軍事政権トップのアシミ?ゴイタの側近サヌ(Alousséni Sanou)経済金融相に近いとされる。  イヴェンタス?マイニング社を創設する前、二人はランドゴールド?リソース(Randgold Resource)社で働いていた。同社は2018年にバリック?ゴールド社に買収されたが、その時の社長がブリストウで、二人はブリストウ社長との確執のため退職したという。今回の背景として、こうした個人的確執も指摘されている。  マリ政府との紛争を受けて、バリック?ゴールド社は、世界銀行の付属機関である国際紛争解決センター(ICSID)に仲裁を申し立てた。一般に、企業は投資国との紛争を回避しようとするので、仲裁機関への付託は異例である。この措置に伴う資金、評判リスクのために、ルロ?グンコト鉱山への新たな投資は非常に難しくなったと予想されている。  マリ政府は、自らこの鉱山を開発したいようだが、他のパートナーを探す可能性もある。その筆頭に挙げられるのが、ロシアである。ワグネルがマリで鉱山企業を二つ設立し、現在も操業している。  以上が記事の概要である。この事件は、サヘル諸国の軍事政権を支える論理を考える上でも興味深い。バリック?ゴールド社の社員を拘束するなどの措置が、軍事政権の横暴であることは疑いない。しかし、一方で、鉱山開発企業とアフリカ政府との間に公正な利益分配がなされてきたのかは疑問である。アフリカで広く鉱山開発企業への反発や圧力が強まっている現状は、この疑問を裏書きする。軍事政権がこぞって「主権」を掲げる背景には経済ナショナリズムと同じ論理があり、そこに一定の正当性を見る人々は少なくない。(武内進一) クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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