センター長挨拶
近年、日本語教育をめぐる状況は目まぐるしく変化し、その重要性はますます高まっています。外国人材の受け入れ環境の整備や日本語教員の養成、多文化共生社会を築くための日本語教育のあり方など、社会的に重要な課題についての議論も活発に行われています。
そのような中で、東京外国語大学留学生日本語教育センターは、1970年より一貫して国費学部進学留学生に対する予備教育を行い、2500人以上の修了生を日本各地の国立大学に送り出してきました。また、この間には、研究留学生プログラム、教員研修留学生プログラム、日本語?日本文化研修生プログラム、ショートステイプログラムなど、学習目的や学習期間、日本語習得レベルが異なる多種多様な留学生に、きめ細やかに対応するためのコースデザインや教材開発を行い、質の高い日本語教育を提供してきました。
日本語教育がますます多様な広がりを見せ、社会的な課題が山積されている現在においても、本センターは引き継がれてきた伝統を基盤としつつ、ポストコロナ時代における社会的使命を果たす組織としてさらに発展していくため、日々研鑽を重ねています。
私自身も、2006年に東京外国語大学に着任して以来、大学進学前の留学生から研究者まで、さまざまな年代の留学生教育を経験し、2016年からは大学院総合国際学研究科での研究指導、2019年からは国際日本学部での教育にも携わっています。学習者が量的にも質的にも変化していく中、私自身も柔軟な姿勢で学生とともに成長する存在でなければならないことを実感しています。これからも、日本語そして日本を学ぼうとする学生たちが豊かな人生を切り開いていけるよう、教育、研究、組織運営業務に力を尽くしていく所存です。
本センターが学内の日本語教育にとどまらず、日本国内、ひいては世界における日本語教育に貢献していくためには、留学生教育に携わる教職員のチームワークによる連携はもとより、学内外の皆さまのご理解、ご支援が欠かせません。これまでのご協力に心より感謝いたしますとともに、今後とも皆さまにお力添えいただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2023年4月1日
留学生日本語教育センター長
伊集院 郁子