2009年1月 月次レポート(澤井志保 中国)
月次レポート(2009年1月)
博士後期課程 澤井志保
クリスマスと新年の休暇が終わってから、中文大学のキャンパスでは新学期が始まり、にわかに賑やかな学生の姿が戻ってきました。1月21日には、私の所属するジェンダースタディーズ?プログラムと、中文大学ジェンダー研究センターの共催で行われる水曜セミナーシリーズにて、私のこれまでの調査について、発表を行いました。このセミナーに先立って、受け入れ教員のナカノ先生に、中文大学の文化宗教研究学科にて香港におけるインドネシア人家事労働者の研究をしておられる先生を紹介していただき、発表前にいろいろと有益なコメントを得ることができました。発表当日においても、ナカノ先生にはチェアーになっていただきましたが、非常に的確に議論の方向を導いてくださり、活発な議論ができました。発表後の質疑応答では、出席者から多くのコメントや質問をいただき、自分では見えなかったポイントが見えてきたことからも、今回の発表により、香港の学生のみなさんと外国人家事労働者の問題について議論を共有できたことを幸運に思いました。
セミナーの光景
中文大学での発表が無事終了し、ほっとしていると、香港の街は旧正月を控えて、再び賑やかさを増してきました。私は現在、調査の必要上、香港島のど真ん中に住んでいるのですが、目抜き通りでは人が多すぎて、連日まっすぐ歩けないほどの人ごみにびっくりです。スーパーマーケットでは、旧正月を迎えるための食材の買いだめのために、ものすごい量の商品を載せたトローリーを携えた人たちの長蛇の列が途切れないため、しばらくはスーパーにいくのを控えるほどでした。さらに、私の調査地のひとつであるビクトリア公園にも花市が立ち、お正月を迎えるために美しい蘭や小さいみかんの木(縁起物のようです)を抱えて家路に着く人をよく見かけました。
旧正月の一日目には、ほとんどの店が閉店し、いつも賑やかな香港も、日本のお正月のような静けさに包まれました。香港のインドネシア人家事労働者のほとんどはイスラム教徒ですし、旧正月は特に催しものは行わないのではないかと予想していたのですが、意外に多くの女性たちが、旧正月にあわせてお休みをもらうらしく、ビクトリア公園でも多くのインドネシア人女性たちが集っている姿が見られました。私の住むインドネシア人ムスリム女性の団体事務所でも、朝からパーティーが始まり、この日にお休みを取れた家事労働者女性が集まって、リーダー自らが料理した水炊き鍋をつつきながら、イスラム系ポップ演歌のようなものをカラオケで熱唱して楽しい時間を過ごしていました。
2日目の夜には、九龍サイドで行われる花火を見に、香港島側にある埠頭に出かけました。香港島からは、普段から九龍側にある高層ビルのライトアップで美しい夜景が見えるのですが、これらのビルのイルミネーションも、旧正月バージョンになっていたのには思わず笑ってしまいました。
旧正月バージョンの夜景