2011年7月 月次レポート(山﨑美保 インドネシア)
ITP-AA派遣報告書(7月)
報告者:山﨑美保
派遣先:ジョグジャカルタ
7月はジャカルタにある国立博物館(Museum Nasional)において刻文の調査を行った。調査内容は、国立博物館に展示されている刻文の写真撮影、また展示されていない刻文の写真撮影、これらの刻文と刻文リストとの照合を中心に行った。調査対象の刻文は、ほぼ私自身の研究対象である9世紀―10世紀前半のものである。展示されている刻文には、研究対象外の時代の刻文も多くあったが、今回の刻文リストには含めていない。9世紀―10世紀前半の石に刻まれた刻文は、すべて所蔵が確認できた。銅板に刻まれた刻文は、リスト中の10の刻文がまだ確認できていない(刻文所蔵リスト)。これらの未確認の銅板刻文に関しては、9月に再度調査を行う予定である。
国立博物館の考古部門の担当者の話によると、新しく展示室を建てた際に、刻文を含めた所蔵物を一度移動させたため、現在所在がはっきりしない所蔵物もあるとのことであった。また考古部門のスタッフは、全員が新しいスタッフであり、所蔵されている刻文について詳しい人はいないとのことであった。
今回の調査では、銅板刻文は、現在でも判読できる状態であったが、石に刻まれた刻文は、多くが判読しづらい状態にあることがわかった。判読が困難な刻文に関しては、先行研究の写真やローマ字転写を参考に研究を行う予定である。可能な限り、写真を用いて自身で文字を判読できるように、資料の収集を行う。
当初、博物館?考古局等には指導教員の先生とともに訪問し調査をする予定であったが、先生が多忙なため、個人で訪問し調査を行っている。指導教員の先生には、博物館?考古局での調査の許可書を得る際に、当該の担当者等に連絡を取って頂き、研究が順調に出来るようご尽力を賜っている。
8月は、考古遺物保存局(Balai pelestarian peninggalan purbakala)を訪問し、新しく発見された刻文を調査する予定である。