2012年3月 月次レポート(水沼修 ポルトガル)
ITP-EUROPA月次レポート(3月)
水沼 修
今月も,指導教官のゼミ(文献学)への出席や,中世語電子化コーパスを利用したデータ収集に時間を費やしました。
文献学の授業では,主に校訂作業が行われています。国立図書館のウェブサイト(http://www.bnportugal.pt/)で公開されている印刷本の複写をもとに,出席者が事前に担当箇所の校訂を行い,授業でそれらを全員で確認していく形で進められています。また,実際に校訂作業を行う中で各々が感じた「理想的な転写方法」等につき,議論も行われます。現在,授業では,1470年生まれの詩人Garcia de Resendeの作品(散文)の校訂作業を行なっています。当該作品には,1521年の印刷本と1528の印刷本があり,授業では,言語的?表記的なヴァリアントにも注意が払われています。
また,博士論文の調査に関し,来月,副指導教官を交えた面談を行うことになっており,現在,その面談に向けた準備を行っています。指導教官とのこれまでの面談では,調査対象とするコーパスの選択や,資料の文献学的側面,また,参照すべき参考文献についての話し合いが中心でした。副指導教官の専門が意味論(主にモダリティ)ということもあり,今度の面談では,例文の意味分析等,データ分析に係る方法論について,指導を仰ぎたいと考えています。
また,先日,指導教官から,文法化に関する論文を幾つか紹介して頂きました。文学部図書館に所蔵されていないものなど,入手しにくい論文ばかりで,中には,自分のテーマと直接関係するもの(haverとterの文法化など)もありました。文法化については,これまでも主要な論文については目を通してきておりましたが,これらを再度読み直し,また,最近の研究,特に昨年出版された「The Oxford Handbook ofGrammaticalization」に収められている論文を読むなど,最近の研究をしっかりと踏まえ,できる限り考えを整理した上で,面談に臨みたいと思います。
なお,今月は,これらの作業以外にも,査読された論文の修正や,投稿予定の論文の執筆も並行して進めました。