2013年9月 月次レポート(太田悠介 フランス)
ITP-EUROPA月次報告書(9月)
太田 悠介
今月のレポートではまず、社会思想史学会の年報『社会思想史研究』第37号掲載の拙稿「矛盾と暴力----エティエンヌ?バリバールの政治哲学序説」が刊行されたことをご報告申し上げたい。ITP-EUROPAプログラムのもとでの在外研究の成果の一部として、書店等で手に取っていただければ幸いである。現在の研究の進捗状況を日本語論文として公表できたことに安堵した一方で、執筆後ある程度の時間が経っているために、再読してみると論の荒さが目につく。今回の投稿論文では博士論文の内容を圧縮して紹介することに重きを置いたが、博士論文ではこの投稿論文の趣旨を肉付けし、さらに厚みのある記述を心がけたい。
『社会思想史研究』第37号
今月の具体的な作業としては、全四部で構成される博士論文の最終部冒頭にあたる節を執筆した。本部ではバリバールの「政治哲学」を扱う。現代フランスの政治哲学の文脈に限らず、広く政治哲学という営みには、通常の意味で理解されている「政治(la politique/politics)」に対して、この