2012年4月 月次レポート(石田聖子 イタリア)
月次レポート
(2012年4月、石田聖子)(派遣先:ボローニャ大学 [イタリア])
今月16日より、短期派遣EUROPAによりボローニャ大学での活動を開始した。派遣者は、昨年秋から先月までのおよそ6カ月間にわたり短期派遣EUROPAによる派遣のもとで同派遣先に籍を置き、本学とボローニャ大学とのあいだで締結された共同学位授与制度に則り博士論文作成作業をおこなってきており、先月末には博士論文を完成させ、派遣先大学への提出を済ませている。今回の派遣期間中には、したがって、提出した博士論文をもとに6月初めの開催が予定されている最終試験に向けての準備を中心とした活動を予定している。
さて、住居の確保、滞在許可証の取得等、滞在中の生活にかかる諸手続きは前回の派遣時に概ね済ませておいたため、派遣開始直後にはまず、改めて博士論文の体裁を整えたうえで、本人用、審査委員会用、お世話になった研究所進呈用の論文製本作業をおこなった。先月末に事務所に提出した論文は簡易版であったが、今回は、スエード調の表紙を使った版と市販の本に似たソフトカバー版の二バージョンを作成することにした。イタリアの大学の伝統的な形式である前者のほうが見栄えも立派で良いのだが、作成に費用も時間もより多くかかるためである。ちょうど今月末に本学指導教員であり審査委員会のメンバーのひとりである和田忠彦教授がボローニャにいらっしゃったため、その機会を利用して完成した論文を直接お渡しすることができた。来月初めには別のメンバーに宛て送付をおこなう予定である。
ところで、博士論文執筆時にはその作業を優先的におこなってきたために、その他の場での研究発表を充分におこなうことができなかった。そのため、今後は積極的にそうした機会を捉えて業績を積んでいきたいと考えている。ちょうど来月には派遣者の所属する国内学会総会における発表者募集が予定されている。まずは博士論文中に得た知見を中心とするものから発表していくつもりであり、現在、発表の構想を練っている最中である。
朝9時に家を出て、徒歩3分ほどの場所に位置する派遣者所属学科附属図書館に向かう。いつもと同じ大学職員、図書館員にあいさつし、まだ誰もいない図書館のお気に入りの席に座りパソコンを開く。昼食時には日本の家族に連絡を取りに一旦帰宅し、その後また図書館に戻り作業を再開する。ボローニャ特有の赤や橙、黄に塗られた家々と真っ青な空が描くコントラストを眺めながら、再びこのボローニャの地に戻り、こうして研究活動が続けられることの有難みと喜びの思いに改めて深く感じ入っている。今回このような機会を与えてくださった関係者の方々に心から感謝するとともに、このチャンスを最大限有効に活用し、最良の成果を挙げられるよう、今後、日々ますます精進していきたいと考えている。