内容解説:日本語教育振興会関係(1941-1946)のもの
2017.02.14 更新
1941年夏に、文部省内に設置された日本語教育振興会は、当時の日本における日本語普及事業の統括機関で、国内外の諸機関と連絡をとり、幅広く情報を集め、多岐にわたる具体的な事業を展開していました。昭和19(1944)年10月小冊子に発行された『財団法人日本語教育振興会沿革及事業概要』によると、日本語教育振興会の事業内容な以下のとおりです。
1.調査と研究 (日本語?中国語?モンゴル語の発音の研究、日本語の文法?日中の漢字研究、対象別?段階別?技能別教授法の開発、対訳辞典の編
纂など)
2.日本語教科書?日本語教育資料の編纂?発行
3.日本語教員の養成?指導
4.日本語教育の振興に関する各種の会合の開催
5.雑誌『日本語』(月刊)の発行
6.関係諸団体(南方派遣日本語教育要員養成所?国際学友会?タイ向放送?中央協和会?大日本仏教会支那布教師練成会など)との連絡協力
最も多いのは、日本語教育振興会に関する文書で、会議録などのほか、事務手続き関連の書類も多く含まれます。ほかにも、日本語教育振興会に集められた同時代の他機関の書類や成果物がコレクションには含まれています。そこで、ここではその中の日本語教育振興会の会議録等書類について簡潔に解説します。
まとまった資料として、「日本語教育振興会」の会議録、理事会議事録があります。1941年8月25日の「日本語教育振興会設立準備委員会」にはじまり、最後に1945年12月27日の第64回理事会(議長:長沼直兄)で、日本語教育振興会の「解散」が決定されるまでの活動の様子、関わった人々などの詳細が具体的にわかる記録です。戦後早期の第55回から第59回、また第62回、63回について議事録が欠けているのは惜しまれますが、他はほとんどそろっており、設立準備から解散決定までの日本語教育振興会の活動の詳細が具体的にわかる第一級の資料と言えます。
なお、この議事録につきましては、河路由佳編『第二次大戦期 日本語教育振興会の活動に関する再評価についての基礎的研究 報告2』(平成18~20年度科学研究費補助金 基盤研究(B)(研究代表者:長谷川恒雄,連携研究者:河路由佳、中村重穂、前田均、松永典子)に、データを掲載しています。この報告書には会議録(1941年8月25日―1945年12月27日)のほか、日本語教育振興会の機関誌『日本語』の目次一覧、同彙報一覧も掲載しています。