HIPS
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HIPS at TUFS
募集要項
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HIPS修了生インタビュー

1期生 西田 衣里(にしだ?えり)さん

修士論文タイトル:
?本の英語教科書におけるナショナリズムの表出の変遷
――学習指導要領の?的の変遷と、それに伴う教科書の内容変化
Figures of nationalism in Japanese English textbooks from the 1970s to the present: focusing on changes in course objectives and in content

Q.1 HIPSに参加したきっかけや理由を、なるべく詳しくお教えください。

お恥ずかしい話なのですが、「今は就職したくないから大学院に進学する」という、消極的な理由での院進だったので、ただダラダラと大学院生活を終えたくはない、自分の修士号に何か意味づけをしたいという思いが元々ありました。2020年4月に大学院に入学してすぐ、その年の9月からヨーロッパの大学との新しいダブルディグリープログラムが始まることを知り、以前からヨーロッパへの留学を希望していた私は、「ヨーロッパ」「ダブルディグリー」という言葉に惹かれて迷わず応募を決めました。それまでほとんど歴史学には関わりがありませんでしたが、とにかくヨーロッパの大学で研究してみたいという思いが先行し、応募しました。

Q.2 HIPSで研究した内容を、なるべく詳しくお教えください。

修士論文では、1970 年代から現在に?るまでの日本の?校英語教科書を分析し、「日本」という国、そして日本の文化がどのように現れ、変遷してきているのか、また登場?物や題材が体現しているもの、価値観の経年変化がどのように起こってきたかを考察しました。 実はこのテーマは、HIPSのクラスメイトと話していた時に思いついたものです。クラスメイトに、日本の英語教科書には日本のことがたくさん書いてあると話したところ、「どうして?」と聞かれて、私は答えることができませんでした。そこで初めて疑問を抱き、これをテーマに修士論文を執筆することにしました。
分析の結果、確かに時代を下るごとに日本に関する内容が増加しており、日本?の登場?物だけでなく、内容も日本に関する題材が増えてくることがわかりました。そして、これには学習指導要領の改訂が影響している可能性を示唆することができ、英語教科書は検定制度のもと、政治的意図を緩やかに先取りしながら内容を変化させていったということがわかりました。また、?本に関する題材は全ての分野で肯定的、あるいは被害者的な内容のみが扱われていることもわかりました。この時にナショナリズムに興味を持ち、現在の大学院での研究につながっています。

Q.3 HIPSは、自身の研究や将来にどんな影響を与えましたか?

HIPSに参加するまでほとんど歴史学を学んでこなかったので、オンラインとはいえCEUの優秀なクラスメイトに囲まれて勉強するのはなかなか厳しい環境でしたが、とても良い刺激にもなりました。そして、「公共圏における歴史」というテーマは、今まで自分が歴史学に対して抱いていた「歴史学者のための歴史学」というイメージを、良い意味で覆してくれて、歴史学をより身近な存在にしてくれたと思っています。
歴史はなんとなく自分から遠い存在に感じるかもしれませんが、私たちの身の回りのあらゆるところに存在しています。地域の伝統行事や、公園に建っている銅像、学校教育や政治のシステム。社会のあらゆるものは、過去の出来事の連続です。私たちにとって、今、この瞬間に世界がどのように動いているか知ることは難しいけど、過去を振り返って確認すると、出来事の流れがよく理解できることがあります。HIPSプログラムを通して、歴史を学ぶということは、ただ単に過去を知るという目的のためだけでなく、そこから何を得て、どうやって未来に活かすかを考えることが大切だと感じました。

私は実は、高校の時から歴史が大の苦手だったのですが、そんな私がHIPSを通して歴史学の修士号を取得することになったので、「HIPSは私の人生に非常に大きな影響を与えた」と言えると思います。

2022年7月24日、HIPS1期生の卒業式の写真。

Q.4 HIPSで印象に残っているエピソードを教えてください。

2021年12月、第3セメスターが終わった後のクリスマス休暇に、フィレンツェメンバーがリスボンに行って、HIPSの1期生の皆で初めてオフラインで会うことができたのですが、その直後にその時会った全員がコロナに罹ってしまい、リスボンで隔離生活を送りながら年越しをしたことです。私にとっては初めての日本以外での年越しだったのに、すごく切ない思いで窓から花火を眺めた覚えがあります(笑)

2021年12月26日、リスボンでHIPSの1期生のメンバーと初めてオフラインで集まった時の写真。この4日後に全員コロナになりました。

Q.5 HIPSで出会った困難と、それにどう対応したか、教えてください。

2021年9月15日、フィレンツェのDuomo前で、HIPS1期生のフィレンツェメンバーであるJeff、Catarinaと初めて一緒に撮った写真。

新しく始まったプログラムで、しかもオンライン留学という誰も経験したことがない状況であったため、履修登録ができない、成績評価の基準が不明確であるなど、本当にさまざまな困難がありました。でも、世界各地から来たクラスメイトたちと力を合わせてオンラインでメールの文面を編集し、それを関係する教授に送信して直接課題と改善案を伝え、自分たちで状況を変えていくという経験をしました。おかげで1期生の皆とは、卒業して
2年以上が経った今でも定期的に連絡を取り合う仲になりました。

Q.6 HIPSを修了した後の過ごし方や、今後の進路について、差し支えない範囲でお教えください。

2021年10月23日、CatarinaとJeffと一緒にベネチアに旅行した時の写真。本当に良い友達になり、今でも定期的に会うことができています!

私はHIPSを2023年に卒業し、一旦一般企業に就職しましたが、2024年9月からもう一度CEUに戻って、HIPSプログラムで興味を持ったナショナリズムを研究しています。2025年6月に卒業後は、少し日本で働いてから、同じ分野で博士課程に進学することを考えています。

Q.7 HIPSへの参加を考えている学生にひとこと!

とてもユニークで、忘れられない経験になること間違いなしです!迷っているなら、ぜひ応募してみてください。応援しています!

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