帝国 その世界史的考察
- 刊行
- 著者等
- クリシャン?クマー(著)、立石 博高、竹下 和亮(訳)
- 出版社
- 岩波書店
内容の紹介
歴史社会学の重鎮による「帝国」論入門、決定版。古今東西の帝国の特徴や遺産を網羅し、
従来の「帝国/国民国家」像を刷新する。
訳者のコメント
立石博高(東京外国語大学名誉教授、前学長)
竹下和亮(東京外国語大学国際日本研究センター特任研究員)
この度、イギリスの歴史社会学者クリシャン?クマーの『帝国―その世界史的考察』の翻訳を上梓いたしました
冷戦終結から数十年が経ち、目下世界は、アメリカ、中国、ロシア、EU、インドなど、帝国的とも言える巨大な政治体による多極化の時代に入りつつあるかに見えます。今も続くロシアによるウクライナの侵攻なども、ロシアが固有のネーション形成に失敗し、結局帝国の遺産を振り払うことができなかったことを示しているのかもしれません。今まさに、帝国の問題を世界史的な広がりのなかで、先入観なしに再検討する時期が来ているのではないでしょうか。私たちはそのような問題意識に立ち、クマーの『帝国』を訳出することにしました。本書は古典的な帝国論だけでなく、昨今の帝国に対する関心の高まりから生まれた様々な研究成果を幅広く吸収し、非常に明快かつコンパクトにこれまでの議論を整理しつつ、極めて斬新な帝国論を提示しています。
国際関係がますます混迷を極めるなか、これからの世界、また日本の行末を考えるさいに、本書が大きなヒントとなること間違いありません。ぜひご一読のほど、よろしくお願い申し上げます。