日本のファッションに新たな可能性を ~国際日本学部2年 半沢果穂さんインタビュー~
外大生インタビュー

国際日本学部 2年の半沢果穂(はんざわ かほ)さんは「トビタテ!留学JAPAN」を利用し、カンボジアのアパレルブランドで約2か月間のインターンをしてきました。インターン中の活動、今後の目標についてお話を伺います。
取材?執筆:堀 詩(言語文化学部 英語3年)(広報マネジメント?オフィス 学生広報スタッフ?学生ライター)
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────いつも素敵な服を着ていますよね。半沢さんがファッションに興味を持ったきっかけやインターンに踏み切った理由を教えてください。
ありがとうございます! 幼い頃からオシャレすることが好きでしたが、特に縫製に興味を持つようになったきっかけは、祖母からもらったお下がりの服でした。祖母の服は、多くが日本のテーラーで仕立てられたもので、何年経っても型崩れしない丁寧な縫製や袖を通した瞬間の着心地の良さに感動しました。
日本の縫製業は確かな技術を持ちながらも、時代の流れとともに衰退しつつあります。そのような状況で、ファッション好きとしてただ「着るだけ」の表現者に留まるのではなく、もっと深く関わるにはどうしたらよいかを常々考えていました。そこで、生産から販売までのプロセスに関わり、日本の縫製業やファッション業界を支える存在になりたいと思い、その一歩としてインターンを決意しました。

────日本含め世界各地にファッション関係の企業があると思いますが、インターン先にカンボジアを選んだのはなぜでしょうか。
企業を探す中で、強く共感し関心を持った会社がカンボジアにあった、というのが一番の理由です。私はファッション全般、特に着物や振袖などの伝統文化に興味があり、「ファッション×伝統」をコンセプトに掲げるカンボジア発のハンドメイド アパレルブランド「SuiJoh」(スイジョー)の事業に惹かれました。SuiJohは公にはインターンの募集をしていませんでしたが、どうしても挑戦したいという思いから、ホームページを通して日本語?英語?カンボジア語の3言語で熱意を伝えました。その結果、想いが届きインターンの機会を得ることができました。

────カンボジア滞在中にどのようなことをしましたか。
カンボジアには、日本の風呂敷のような用途で使われる「クロマー」という伝統布があります。インターンでは、クロマーと着物を掛け合わせた商品開発に携わりました。現地にある日本の廃品回収業者の工場には、まだ十分に使えるのに廃棄寸前の美しい着物が多くありました。そこから着物を自分で選んで大量に持ち帰り、新商品のアイデアを出すことがとても楽しかったです。
また着物の本体部分は使いやすいのですが、硬い帯は再利用が難しく困っていました。そこでフリーマーケットで着物の帯を販売したところ、あるお客さんが「ベッドの足元に敷くカーペットとして使う」といって購入していきました。本来の使い方を知ってもらうことはもちろん大切ですが、現代の生活に適応した新たな使い方を見つけることも間違いではないと思います。忘れ去られるよりも、形を変えてでも受け継がれていくことに価値があるのではと感じました。
他にも、リンガーハット(長崎ちゃんぽん「Ringerhut Cambodia」)のTikTokに出演したり、カンボジア文化省副大臣のパーティーに参加したりとたくさんの経験をしました。2か月間でできることは全部やりきったと言えるくらい充実したインターンでした。


────毎日忙しく活動していたのですね。現地で働いてみて、何か変わったことや予想と違ったことなどはありますか。
カンボジアでは、農業従事者は栽培ができない時期に縫製業で働くという短期雇用が成立しており、縫製業は民間のセーフティネットとして機能しています。当初はカンボジアのこのようなシステムを日本に取り入れる方法を模索していました。しかし実際に現地で働いてみると、社会保障の有無や死生観など、制度や価値観が日本とは大きく異なることに気がつきました。自分が当初考えていたこととのギャップを強く感じましたね。

────今後の目標について教えてください。
インターンを通じて、ファッションにはまだ自分が知らない可能性が満ちていることを実感しました。これからは、そうした可能性をさらに掘り下げ、追求していきたいです。伝統と現代をつなぐ架け橋となり、日本の縫製業やファッション業界に何らかの形で貢献することが今の目標です。
本記事は取材担当学生により準備されましたが、文責は、東京外国語大学にあります。ご意見は、広報マネジメント?オフィス(koho@tufs.ac.jp)にお寄せください。